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ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

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This is a pen!

 ナンセンスなThis is a pen. 

itの正体の話をしようと思ったのだが、もうひとつthis(that)がらみで(もちろんitにも関係するが)。

ディスイズアペーン! はそもそも、「意味のない」文章である。そもそもこんな文章が必要になる場面は日常生活ではほとんどない。

え~?だって「これは、ペンです」って文章を使うことはあるでしょ?

はい。日本語ではね。でもそれはたぶん、This is a pen.ではないのだ。
「それ、何?」
「これは、ペンだよ」
このやりとりは英語では
"What's that?"
"It'a pen."

である。

thisというのは、前項で書いたように、「指し示す」意味が基本なので、それまで注目されていなかったものについて
「ほら、ここにこんなものがある」というふうにまず注意を向ける機能がある。一旦注意が向けばもう指し示す必要がないので、それ以降は普通はitで受けることになる。
間違った知識で「this=これ that=あれ it=それ」と思っていると、上記のやり取りはつい
"What's it?" " This is a pen."
などとしたくなってしまうかもしれないが、これは全然あっていない。

たずねられてもいないのにいきなり
「ここにこんなものがあるが、これは、ペンです」
と言い出すのはあまり日常の場面ではない。しかもそこに不特定のものうちのひとつを指すaをつけた一般名詞が来る状況(つまり「『とある』○○です」という意味になる)はさらに普通ではない。
my とかをつけて 
This is my pen.
「これは私のペンですよ(あなたのじゃなくて!)」
とか、the penとして
This is the pen.
「これが、(例の、話題になっていた、あの)ペンですよ」
とか(もちろんこれだっていきなりでは妙で、その前の文脈が必要になるが)、さらにその後に限定する句をつけて
This is the pen I bought at that store.
「これが、私があの店で買ったペンです」
とかなら意味はある。
あるいは形容詞をつければ少しは意味があるようになるかもしれない。
This is a small pen!
「これは小さいペンですね!」
とか。

だがいきなり
This is a pen.
と言われても
「は? それが何か?」
としか言いようがない。

This is a pen. という文が成りたつのは、それこそ語学の勉強でものの名前をいろいろ習っている場面、とか、あるいは手品でもやっているなどなにかもったいぶってプレゼンテーションをしている場面ぐらいしか思いつかない。もちろん文法構造上では間違っていないし、重要な構文とは思うが、日常の「場面」から乖離してしまっているのを出発点でいきなり教えられるから、その後も日本人にとって英語がちっとも実際の場面に結びつかない、というハメになってしまうのでは、とまで思ってしまう。

最近はさすがに気づいたのか、中学1年生の教科書でもいきなりThis is a pen.を導入したりはしていないようだ。
aとかtheとかthis/thatの扱いも難しいということにも気づいたのか、私が最近見たものはmy bookとかyour pencilとか所有詞から導入されていて、これは賢いと思う。上述のようにThis is my book.なら十分リアルに成りたつからだ。
(それでもまだbe動詞の不用意な導入という問題は残っていて、それについては後日またもやディスイズアペーンを槍玉に挙げて書くつもりである)

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